堺店ができるまで

モ174号車の歴史

平成19年の8月から鉄カフェにやってくる「モ174号車」ってどんな電車だったのでしょうか?
阪堺電気軌道の方にお伺いして少し調べてみました。

おもな仕様
形式称号 モ161
定員 90人
座席 28人
面積 25.89平方米
最大寸法 全長13716×全幅2438×全高3732mm
自重 18.8トン
電動機 30kW×4個

形式称号の「モ161形」というのは今回登場する「モ174号車」の車両形式です。
昭和2年から3年にかけて川崎造船所や川崎車輌など(現:川崎重工業 車両カンパニー)で合計15両製造されました。
ちなみに、平成19年現在でも10台がまだ現役で走行しています。
ご存知の方も多いとは思いますが、形式称号に含まれる「モ」というのは「モーター」から由来しており、電動車という意味です。
ディーゼル機関の気動車の場合は「キ」ですね。
昭和2年製造の「モ161形」ですが、新型のモ701形やモ601形と性能がほとんど同じなのには少し驚きました。

モ174号車の歴史
昭和2年3月 川崎造船所・兵庫工場にて「モ155号車」として竣工
昭和26年10月 集電装置をトロリーポールからビューゲルに改造
昭和31年12月 戦災による車番整理を行う形式称号を「モ151形」から「モ161形」へ変更記号番号を「モ155号車」から「モ174号車」へ変更
昭和42年2月 集電装置をビューゲルからパンタグラフに改造自動連結器を取り外し
昭和42年6月 室内灯を電球から蛍光灯に改造
昭和51年7月 ワンマン化改造
平成13年2月 廃車

技術の進歩に合わせてマイナーな改造を随分と行っているのがわかります。昔は連結器なども付いていたのですね。
昭和31年の車番整理というのは、空襲で車両が焼失し抜け番号が多数発生したための整理です。
昭和20年に数回行われた大阪大空襲では大和川検車区(当時の名称)の車両も爆撃でかなり被災したのです。
「モ174号車(当時はモ155号車)」は空襲時いったいどこに避難していたのでしょうか?

現役車両に掲示されている昭和3年の銘板

現役車両に掲示されている昭和3年の銘板

切断作業開始!

平成19年7月24日
ついにその日がやってきました。
昭和2年3月に川崎造船所・兵庫工場で誕生し、平成13年2月まで阪堺線(恵美須町〜浜寺駅前)や上町線(天王寺駅前〜住吉公園)を74年間、300万km以上を走り続け、21世紀の到来とともに引退した「モ174号車」が新たな人生をはじめる旅立ちの日です。

切断作業開始!

全長13.7mの車体の前部を切断します。鉄カフェに全ては収められませんので、今回切り取ったのは運転席の部分になります。 スタッフは合計6人。今回のような仕事は初めてとのことですが、普段は車両改造や修理を手がけるプロ集団ですのでさすがに手際が良いです。

切断作業開始!

■補強

ドアの中央部分から切断するので、切断しても形が崩れてしまわないように「梁(はり)」を入れてボックス構造にしています。

補強

■固定
運転台部分のみとはいえ、約1.5トンの重さがありますので切断と同時にバタンと倒れないように固定します。固定方法は随分と悩みましたが、結局内側からワイヤー等で引っ張ることにしました。

固定

■屋根の切断

屋根部分の切断は一番苦心したところです。
モ174号車は昭和初期に製造されたモ161形ですので屋根が木製なのです。
製造当時は集電装置も現在のようなパンタグラフ式ではなくそれよりも重たいトロリーポール式でしたが、現在の車両では標準装備になっている「冷暖房機器」など、集電装置以外の機器が一切積まれていなかったので、屋根は木製で充分間に合っていたのです。
150Wの前照灯も最初は屋根部分ではなく、現在ナンバーが描かれている部分に付いていたのです。
切断作業そのものは丸ノコでギュイーンと切れるのですが、切断によって強度が弱くなり、屋根そのものが崩落するのでは? とスタッフを恐れさせましたが木材が丈夫だったので、ある程度の補強を施すことで解決しました。
米軍の空襲や風雨に耐え、決して腐ることなく70年以上もちこたえた木材の鮮やかな切り口をご覧ください。部分的には張替えをしているものの木材の基礎部分はなんと製造当時のままなのです!

屋根の切断

■切り離し完了

倒壊防止のワイヤー等を張り、ついに最後の鉄骨にカッターの刃が入る。
そして切り離し。
作業開始から約7時間。ついに車両本体から電車の顔が切り離されました。
阪堺電気軌道の「モ174号車」が鉄カフェの広告塔として生まれ変わった瞬間です!

残りの部分は残念ながらスクラップになってしまうけど、生き残った部分は今後も「モ174号車」の輝かしい歴史を子どもたちに語り伝えていくことでしょう。

切り離し完了

塗装

■塗装準備開始

74年間路上を走り続けた車体は良く見るとあちこちがデコボコしています。
路面電車に限らず、車両の基本的な構造は骨格(梁)に鉄板を張っているだけですので、新幹線N700系などの最新車両でも走行距離を重ねると振動で車体がひずんでくるのです。
鉄道会社によっては「車体更新」といって約20年程度で外板の張り替え等をする車両もありますが、「モ174号車」はオリジナルの外板で74年間走り続けました。
パテの跡から74年間の「歴史」を感じ取ってください!

塗装準備開始

■塗装開始

塗装作業は基本的には「表面を削る」→「パテを付ける」→「下塗り」→「本塗り(2回)」などの工程です。
現行の車両は2年に1回の塗装サイクル(広告が2年なので)ですが、今回の塗装は「モ174号車」が堺の街でいつまでも輝き続けることができるように特に念入りに仕上げています。
塗りだけでも4回以上塗っており、光沢が出るようにクリアラッカーで仕上げています。

塗装開始

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